よくあるご質問(FAQ)
鋼管式防波堤4
Q. 計算内容
  1. 道路橋示方書による地盤反力バネ係数はどのように算定されていますか
  2. 鋼管式防波堤の標準的な設計手順で、本システムが対応している箇所を教えて下さい
  3. 変位法とフレーム解析で計算結果に殆ど差がないのはどうしてですか
  4. 加速度応答スペクトルより設計震度を算定する際にはどのようなことに注意すれば良いですか
  5. 杭とフーチングの結合計算で使用している永久荷重のV・H・Mと変動荷重のV・H・Mはどの様にして計算した値なのでしょうか
  6. 設計震度における固有周期の算定に用いるバネ定数はどのようにして計算しているのでしょうか
  7. 帳票に表示してある等価節点力はどのように扱われているのか
  8. フーチングの杭端部の押し抜きせん断応力度の計算条件について教えて下さい
  9. 地盤反力係数を求める際に、計算方法として利用する”N値→Kh”を選択した時のqu=N/X(N/mm2)という式はどのような文献を使用されたのでしょうか
  10. カーテン式防波堤、自立鋼管式防波堤に波圧等が作用する際の計算載荷幅はどのように考えていますか
  11. 鉄板被覆を検討した場合、どのような断面諸元で計算されますか
  12. 等価節点力を作用させて断面力の計算を行う場合にカーテン版の自重を考慮するのは荷重の重複になりおかしいのではないでしょうか
  13. 許容応力度法の場合、波圧時の計算で波の山が作用する場合と波の谷が作用する場合で、許容値が異なるのは何故ですか?(波の山:常時、波の谷;異常時)
Q. 参考文献
Q. 設定


Q&A. 計算内容
  1. 道路橋示方書による地盤反力バネ係数はどのように算定されていますか
  2. 検討対象の土層がある杭に対して、1/β区間でのβの計算を行い
    その値を基に計算載荷幅BHを算定、この値を基に計算を行います。
    鋼管杭の径をDとした場合、βは次式で算定されます。



    1/β区間が多層地盤の場合、
    鋼管杭で使用するβは収束計算によって算定を行います。
    00383
  3. 鋼管式防波堤の標準的な設計手順で、本システムが対応している箇所を教えて下さい

  4. 本システムでは
    ・地震波形を用いる際に必要な仮想地表面から1/βの位置
    ・固有周期
    ・対象地震の加速度応答スペクトル
    ・設計震度
    ・断面性能照査(杭反力/杭応力、根入れ長、支持力、負の周面摩擦、杭頭部)
    以上の項目が行えます。

    ・1/β位置での対象地震の加速度波形の算定
    こちらは弊社製品「照査用震度算出」または地震時の液状化による構造物被害予測プログラム「FLIP」を使用します。

    ・細部設計(上部工の設計)
    こちらは鋼管式防波堤の構造形式に応じて弊社製品「鋼管式・矢板式上部工」を使用します。

    00801
  5. 変位法とフレーム解析で計算結果に殆ど差がないのはどうしてですか
  6. 変位法で使用されている伝達マトリクス、フレーム解析で使用されている剛性マトリクスが共に同じ微分方程式が基になって構成されているためです。変位法とフレーム解析では荷重の作用方法に若干違いはありますが、それ以外はほぼ同じですので、そのため結果に大きな違いはありません。
    00399
  7. 加速度応答スペクトルより設計震度を算定する際にはどのようなことに注意すれば良いですか
  8. 本システムでは一次元地震応答解析によって求められた仮想地表面から1/βの位置の地震波形を用いて加速度応答スペクトルを算出し、また、鋼管式防波堤のフレーム解析を行い、水平変位と作用する水平力から鋼管式防波堤のバネ定数を算出し、固有周期を求めます。
    この加速度応答スペクトルと横桟橋の固有周期から設計震度が求まります。

    この時、注意すべき点として
    ・地震波形を用いる際に必要な仮想地表面から1/βの位置
    ・固有周期
    この2項目の値が変更される場合には再度設計震度を計算する必要があります。

    これらの計算の流れをとりまとめたのが以下の計算手順フローになります。



    仮想地表面の1/βの値が変更される項目としては杭径、杭の肉厚、土質条件が考えられます。
    この場合には再度一次元地震応答解析により地震波形を算出しなければなりません。

    鋼管式防波堤の固有周期の値が変更される項目としては上部工の形状、杭本数、杭設置間隔、杭寸法、土質条件等多岐に渡ります。

    設計震度の計算手順・詳細については
    港湾の施設と技術上の基準・同解説(中巻) P1208〜1209に掲載されております。
    00800
  9. 杭とフーチングの結合計算で使用している永久荷重のV・H・Mと変動荷重のV・H・Mはどの様にして計算した値なのでしょうか
  10. 永久荷重のV・H・Mは上部工自重・浮力のみで杭頭作用力を計算したもので変動荷重のV・H・Mは波力のみで計算した値です。
    00560
  11. 設計震度における固有周期の算定に用いるバネ定数はどのようにして計算しているのでしょうか
  12. 骨組構造解析にて桟橋に水平力を作用させ、算出した構造物の水平変位を作用させた水平力で割る事で算定されます。
    骨組構造解析は線形弾性を前提とした計算ですので、水平力と水平変位は比例の関係になります。
    よって、作用させる水平力はどんな値であっても、構造物のバネ定数は一定になります。



    ここに
    K:構造物のバネ定数
    P:水平力
    δ:水平変位
    00021
  13. 帳票に表示してある等価節点力はどのように扱われているのか
  14. 原点の変位を計算するのに使用しております。
    ここにある等価節点力は各杭に作用する断面力を計算する等価節点力と同じものではありません。


    00371
  15. フーチングの杭端部の押し抜きせん断応力度の計算条件について教えて下さい
  16. 前杭の場合は前杭に作用する水平力が正のとき
    後杭の場合は後杭に作用する水平力が負のとき
    それぞれ検討を行います。
    00377
  17. 地盤反力係数を求める際に、計算方法として利用する”N値→Kh”を選択した時のqu=N/X(N/mm2)という式はどのような文献を使用されたのでしょうか
  18. 一般社団法人 鋼管杭・鋼矢板技術協会「鋼矢板 設計から施工まで」2014年改訂新版
    P102に記載されています。
    00625
  19. カーテン式防波堤、自立鋼管式防波堤に波圧等が作用する際の計算載荷幅はどのように考えていますか
  20. 本システムでは
    カーテン式防波堤の場合
    杭縦断間隔を計算載荷幅として設定しています。



    自立鋼管式防波堤で鋼材本数が1本の場合
    矢板の外径+継手有効間隔を計算載荷幅として設定しています。



    自立鋼管式防波堤で鋼材本数が2本以上の場合
    杭縦断方向間隔を計算載荷幅として設定しています。

    00403
  21. 鉄板被覆を検討した場合、どのような断面諸元で計算されますか
  22. 鉄板被覆の検討は残存耐力を考慮せずに計算します。つまり、被覆前の鋼管杭を無視して鉄板のみの断面諸元で照査します。
    01128
  23. 等価節点力を作用させて断面力の計算を行う場合にカーテン版の自重を考慮するのは荷重の重複になりおかしいのではないでしょうか
  24. 等価節点荷重は杭単体に作用する荷重に対しての変位量に対してかかっていると見られる荷重です。
    例えば図−1のような杭があったとします。

    図−1

    この場合、杭は下の図−2のように変位します。

    図−2

    実際、このように変位しているのですが杭頭部には何の力も加わってはいません。
    そこで図−3のように、この杭が元の位置から今の位置まで変位したときに杭頭部にかかっていると仮定した力、これが等価節点力になります。

    図−3

    これはあくまで杭頭部に作用していると仮定している力であって実際にかかっている力ではありません。
    その後、この等価節点荷重を用いて各部材の変位が求まります。
    この変位を基に部材の断面力を求めていくのですが、変位を求めていくのに図−1→図−3のように実際の状態から見かけの状態に仮定して計算を進めてきました。
    そのため部材の断面力を求めるには図−3→図−1という風に見かけの状態から実際の状態に戻して計算をおこなわなければなりません。
    杭頭部にかかる断面力Fは杭頭部の変位量をδとし杭頭部のばね定数をKとするとフックの法則により
    F=Kδ  となります。
    しかし、見かけの荷重である等価節点荷重wを杭頭部に考慮しているのでこれを消去する必要があります。
    よって
    F=Kδ−w
    これが杭頭部に作用する正しい断面力になります。
    では杭の任意の点での断面力を求める場合、図−4のように

    図−4

    杭頭部からx(m)離れた点Pでの軸力Fpを求める場合、杭頭部の軸力をF、杭に作用する鉛直方向の等分布荷重をtとすると
    Fp=F + t・x
    になります。
    00562
  25. 許容応力度法の場合、波圧時の計算で波の山が作用する場合と波の谷が作用する場合で、許容値が異なるのは何故ですか?(波の山:常時、波の谷;異常時)
  26. 鋼管式防波堤は波の谷作用時に揚圧力の設定ができます。
    「揚圧力を考慮した場合は、異常時としての安全率、許容応力度により設計するのがよい」と「漁港・漁場の施設の設計参考図書 2015年版 [上]」のp412に記載があります。
    そのため、揚圧力を考慮した場合は波の谷と波の山で許容値が異なります。
    00367
Q&A. 参考文献
  1. 変位法のK1,K2,K3,K4はどこに記載されていますか
  2. 杭基礎設計便覧(平成4年)のP188〜P210に変位法、変形法(剛性マトリクス)、伝達マトリクス法が記載されています。
    ここで、伝達マトリクス法のK1,K2,K3,K4はP205に記載されています。

    ※弊社杭式構造物の変位法は上記の伝達マトリクス法、フレーム計算は変形法(剛性マトリクス)となります。

    杭基礎設計便覧(平成H18年)には伝達マトリクス法のK1,K2,K3,K4の記載はありませんが、
    剛性マトリクスの項のP361に「また伝達マトリクス法により連立方程式の次数を少なくすることもできる。」と伝達マトリクス法が記載されています。
    00623
  3. 地盤反力係数の計算方法で道路橋示方書に準拠した場合、換算載荷幅B'の算定方法を教えて下さい
  4. 杭基礎構造物での換算載荷幅B'は次式で計算されます。


    ここで使用される特性値βについて

    道路橋示方書・同解説 W下部構造編(平成29年11月)
    P190
    『ここで、B'を算定する際のkHは地震の影響を含まない場合の値とし、設計上の地盤面から1/βまでの深さの平均的な値としてよい。また、地盤を多層として評価し、各層の水平方向地盤反力係数を算出する場合も、各層の換算載荷幅は上記により求めたB'を用いるものとする』

    この一文より
    ・B'を算定する際のKHに用いる地盤反力係数の換算係数αは地震の影響を含まない場合の値を用いる
    ・B'を算定する際のβは1/βまでの深さの平均的な値を用いる

    として換算載荷幅を計算しています。
    00618
Q&A. 設定
  1. 鉄板被覆でのスリットの溶接長はどのような値を用いますか
  2. スリット1条当たりの溶接長は、実際には 2×スリット長+スリット幅 になりますが
    2009年版 港湾構造物防食・補修マニュアルP323
    『鋼板溶接においては鉛直方向のすみ肉溶接が曲げに対して有効であり、水平方向すみ肉溶接(小口溶接)の曲げ抵抗効果はきわめて小さい
    したがって、本工法の溶接設計においては水平方向すみ肉溶接を無視し、有効のど断面積および断面係数を求めている』との記述より
    照査に関しては 2×スリット長 で考えます。
    01933